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今月の漢方 2023.8月 

今月の漢方

東洋医学の医学書【黄帝内経】に、「女性は7の倍数、男性は8の倍数の年齢で節目を迎え、体調に変化が訪れる」との記載があります。

歯の生え変わり、月経開始、精通、筋骨形成、白髪、閉経、生殖機能の衰え、皮膚の乾燥、不眠、胃腸衰弱など生きていれば訪れる立派な変化なのですが、様々な変化が早期に訪れたり、長引いたり、生活に支障が出るなどお悩みのお客様はたくさんいらっしゃいます。

中でも40~60代の男女に多い更年期障害と言われる症状にも良く使われる漢方薬を一部ご紹介します。

柴胡加竜骨牡蛎湯

<柴胡加竜骨牡蛎湯>=さいこかりゅうこつぼれいとう

構成生薬:柴胡(さいこ)、半夏(はんげ)、桂皮(けいひ)、茯苓(ぶくりょう)、黄岑(おうごん)、大棗(たいそう)、人蔘(にんじん)、牡蛎(ぼれい)、竜骨(りゅうこつ)、生姜(しょうきょう)、大黄(だいおう)

※竜骨:古代の大型脊椎動物の骨格の化石 牡蠣:カキの貝殻

効能効果:精神不安があって、動悸、不眠などを伴う次の諸症:高血圧の随伴症状(動悸・不安・不眠)神経症、更年期神経症、小児夜泣き

体格がよく、体力のある人に鎮静・自律神経調整を目的として使用されることが多い。カルシウム分を多く含む竜骨・牡蠣は精神安定・筋肉の線維束性けいれんの緩解・動悸の鎮静・止汗などの作用をもっている。

 仕事の重圧や様々なストレスを抱えやすい世代、また子育てや仕事がひと段落して生活スタイルが大きく変わることで出やすい頭痛、不眠、精神不安、記憶力の減退、憂鬱感、物音に敏感といった症状改善に使う。

 体格が良くて体力のある人にこの証は多いが、外見いかにも疲れているように見え体力がない人で同じような症状がある場合は、柴胡桂枝乾姜湯を用いる。

半夏厚朴湯

<半夏厚朴湯>=はんげこうぼくとう

効能効果に「更年期障害」と明記されていないが、こちらもよく使われる処方。

咽喉部または胸骨の裏のあたりに、物が引っ掛かっているように感じる異物感、刺激感のことを梅核気(ばいかくき)と言い、レントゲン検査をしても何ら異常がないがこのような症状を訴える方には奏効する。

不安感から呼吸が苦しく、声が出しづらいといった症状にも良い。

構成生薬:半夏(はんげ) 茯苓(ぶくりょう) 厚朴(こうぼく) 蘇葉(そよう) 生姜(しょうきょう)

五味のうち、半夏、茯苓、生姜は小半夏加茯苓湯と呼ばれる処方で、悪心、嘔吐を鎮める効果があるため、妊婦のつわりにも使用する。 紫蘇葉には気分を明るくする働きもある。

効能効果:気分がふさいで、咽喉・食堂部に異物感があり、ときに動悸、めまい、はきけなどを伴う次の症状;不安神経症、神経性胃炎、つわり、咳、しわがれ声