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今月の漢方 2024.5月 頭痛の漢方

今月の漢方

色鮮やかな花々や木々の新緑に癒され、環境の変化にほっと一息つける時期です。

たまには通勤通学途中の公園で一休みしたり、少し足を延ばしてアスファルトではない、自然の道を歩いてみてはいかがでしょうか。

ただ自然界では、湿度が一番高く、気温もぐんぐん上がる時期です。

この時期は、湿邪や暑邪の影響で頭痛の相談が増えます。

鎮痛薬は一時的に痛みを抑えてくれますが、胃を荒らしたり、慢性的になると鎮痛薬も効かなくなったり、何より鎮痛薬に頼って痛みを無かったことにするのは血流も悪くなり、本来の健康からはかけ離れていくだけです。

なぜ頭痛が出るのかを相談の中で一緒に考え、体質を変えていくことが今後の健康にもつながります。

体質改善の基本は日々の生活養生にありますが、すでに出てしまっている悪い癖は早いうちに漢方薬の力を借りて取り除いていきましょう。

桂枝茯苓丸

<桂枝茯苓丸>=けいしぶくりょうがん

構成生薬: 桂皮(ケイヒ) 茯苓(ブクリョウ) 牡丹皮(ボタンピ) 桃仁(トウニン) 芍薬(シャクヤク)

牡丹皮と桃仁は瘀血を除き、桂枝は牡丹皮・桃仁と共に気血をめぐらし、茯苓は水分の停滞を調節し、芍薬は鬱血を散じ、筋肉の緊張、弛緩を調節する。

痛みだけではなく、しこりにも奏効すると言われ、頭痛だけではなく、生理痛・子宮筋腫にもよく使われる処方。

効能効果: 比較的体力があり、時に下腹部痛、肩こり、頭重、めまい、のぼせて足冷えなどを訴える次の諸症:月経不順、月経痛、更年期障害、肩こり、頭重、打ち身、しもやけ、しみ

五苓散

<五苓散>=ごれいさん

構成生薬: 茯苓(ぶくりょう) 白朮(びゃくじゅつ) 沢瀉(たくしゃ) 猪苓(ちょれい) 桂枝(けいし)

水液の巡りが悪くなると、必要なところを潤せず、余計なところに溜まってしまう。

それによる口渇、頭痛、むくみ、下痢によく使われる処方で、沢瀉・白朮・茯苓・猪苓は全て利水薬、桂枝は水液代謝を促進する働きがある。

効能効果: のどが渇いて、尿量が少なく、吐気、嘔吐、頭痛、むくみなどのいずれかを伴う次の諸症:水様性下痢、急性胃腸炎、暑気あたり、頭痛、むくみ

清上ケン痛湯

<清上ケン痛湯>=せいじょうけんつうとう

構成生薬: 川芎(せんきゅう) 白芷(びゃくし) 羗活(きょうかつ) 独活(どっかつ) 防風(ぼうふう) 甘草(かんぞう) 麦門冬(ばくもんどう) 黄芩(おうごん) 蒼朮(そうじゅつ) 当帰(とうき) 蔓荊子(まんけいし) 細辛(さいしん) 菊花(きっか) 生姜(しょうきょう)

薬味の蔓荊子や菊花で枕を作って毎晩使うと慢性頭痛が治ると言われている。

頭痛全般に使えるが、特に眼からくる頭痛にはよく効く処方。

効能効果: 体力に関わらず使用でき、慢性化した痛みのあるものの次の諸症:頭痛、顔面痛