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2022年5月のデュ・アン太極拳クラブ

スタッフブログ

デュ・アン太極拳クラブの皆様 ウェブページをご覧の皆様


2022年5月の練習について、ご連絡申し上げます。今月は11、18、25、と水曜日の練習は3回を予定しております。会場はいずれの日も赤羽文化センターを使用します(時間は9:30-11:15)。
新型コロナ感染予防につきまして、引き続き必要な事項を守りながら注意して参りましょう。教室では原則としてマスク着用で、お互いに適度な距離をとれるようにし、換気扇を回すなど、換気に注意して練習を行いたいと思います。引き続き、施設利用に関して以下のようなルールがありますので遵守の上ご参加くださるようお願い致します。①ご自宅で検温の上お越しください(37.5℃以上の発熱、体調がすぐれない場合は参加をご遠慮ください)②室外および共用部にて、マスクを外しての大きな声での会話を控えること③こまめな手洗い、アルコール等による手指の消毒等々詳細はまた教室にて確認していきます。床に座っての柔軟体操が心配なかたはバスタオル等の敷物をお持ちください。施設利用に関して変更等が生じた場合はメールにて皆様にご連絡致します。そのほか、何か気がかりな点がありましたらお気軽にお尋ねください。

***生命の水***


 けやきの葉が勢いよく枝を覆い、そよそよと風にゆらいでいるの見るだけで心にすーっと静かなエネルギーが満ちてくるようです。
 今年の4月上旬はまるで冬の寒さのような日もあり、わが家の新中学生の入学式までギリギリどうにか桜が咲いていてくれて、とてもラッキーでした。しかし中旬にさしかかると気温はぐんと上がってきました。 4月11日の朝、私は前の晩からほとんで寝ずに過ごしていました。ずっと猫のマハロさんの寝床の横に付き添ったまま夜が明けて、朝の5時半頃に窓を開けるとまるで初夏のような、なんとも爽やかな朝の空気が部屋の中に入ってきました。マハロさんはこの頃には、もはや目を閉じて寝ることはなくなっていました。お互いに顔を向かい合わせにして横になって一緒に朝の鳥たちのさえずりを聞いたのをとても良く覚えています。地上に生きる存在としてのマハロさんに「おはよう」と声をかけたのはこの日が最後となってしまいました。翌日、黒猫のアロハとマハロによく似合う、薄いピンクのかわいらしいチューリップを届けてくださったかたがいらっしゃいました。フォトフレームは小学校卒業間際の作品で太陽の光が猫たちにぴったり。

 年末は通院、入院、手術を乗り越えて、みんなで一緒にお正月を迎え、節分とお彼岸も、厳しい季節の変化に耐えて乗り切り、わが家の一番若い人の入学式やお誕生日も一緒に過ごしてくれたマハロさん。 マハロは約18年という長い時間を地上で過ごす間、実に鋭敏な時間感覚を養っていました。たとえば、工事にくる業者さんと予定の変更を電話でやり取りした後、変更後の時間のきっかり5分前におトイレを済ませておくなどというのはマハロにとっては「当たり前」のことのようでした。そんなマハロさんだから、姉猫アロハさんの命日の4月15日を意識しているのが、日に日に強く伝わるようになってきました。アロハはマハロの命の恩猫なのです。アロハが旅立ったあとは家の中でアロハの話はしなくなっていました。マハロの心が激しく乱れてしまうためです。それでもマハロはしっかり命日を把握していたのでしょう。

マハロとアロハ

 でも、15日だと家族全員がそろわないかもしれない、と私は一人心配していました。しかし、マハロさんはちゃんと心得ていました。家族の仕事の予定の変更もすべて計算済みで、最後は中学生が午後4時前に帰宅するのを待ち、身体を支えてもらいながら、全員が見守る中で息を引き取りました。「ここからは忙しいよ」と声を掛けてお寺に向かう準備をし、お寺さんのその日の最終受付に間に合ったのでした。 旅立つ瞬間の数時間前まで、マハロさんは懸命に自分の力で水を飲み、それも難しくなると指で口の中を湿らせてあげると嬉しそうにしていました。マハロは小さい頃からお水が大好きで蛇口から流れ出る水にも興味津々の様子でした。5歳ぐらいまでは家族がお風呂に入っていると、ずっとドアの前で隙あらば中に入ろうとスタンバイしていました。あるとき、好奇心のあまりフタをしていなかった湯舟のヘリに跳び乗って、そのまま「ボッチャーン!!」。すぐに引き揚げられましたが、ビショビショのまま家じゅう駆け回り大騒ぎになっていたのも懐かしいですね・・。 看取りの時間の間、マハロさんは時折、寂しげな表情を見せるようになりました。「マハロ、時間も場所も関係ないよ、心はいつも一緒だよ」と声を掛けると、大きな瞳をさらにまんまるにして、「ほんとうに?」とでも聞きたそうに、じーっとこちらの目を覗き込んでくるのでした。何度もそうやって声をかけているうちに安心したのか、マハロさんの態勢を整えようと両手でお顔を支えた瞬間、マハロは今までで一番の、満面の笑みを見せてくれたのです。その日のお昼頃になると、看取り人はさすがにお腹が空いてきたので近くにいた家族に「鮭のお弁当買ってきてもらおうかなぁ?」と頼んだ瞬間も、にま~っと微笑んで「うん、うん、それがいいよ」と言わんばかりになぜか嬉しそうにしていました。 私は前日の午後からずっとマハロの顔を見続けていたのですが、「はっ!この目は!」と記憶が蘇りました。マハロさんの透き通った美しい瞳は生後半月頃、猫ミルクをあげていたときの写真とまったく同じ表情になっていました。

猫ミルクを飲むマハロ

それに気が付いたとき、思い出されたのが次の文章でした。「もしあたしの心臓がいつか鼓動をやめてしまったら、どうなるの?」物語の中で、時間の国にたどり着いた主人公の小さな女の子が時間の国の主に問いかけた言葉です。「,・・生きた昼夜と年月すべての時間をさかのぼってゆく・・人生を逆にもどっていって、ずっとまえにくぐった人生への銀の門にさいごにはたどりつく。」この時間の国の主の返答をマハロさんの瞳が思い出させてくれました。
 アロハとマハロと家族としてともに暮らした時間そのものが私にとっての一生の大切な宝物です。アロハが初めて立ち上がって歩き始めたとき、「ニッ!ニッ!」と足を前に出すたびに掛け声をかけていたのもよく覚えています。猫ならではの深く研ぎ澄まされた感性に「到底かなわないな」と毎日、感じていました。そしてアロハも、マハロも地上を去るその瞬間をそれぞれの個性いっぱいに、ちゃんと私に見せてくれました。私たち生き物に与えられた「時間」の存在、心のつながり、生きること、地上を去ることをはっきりと教えてもらいました。
 今の自分の身体での地上における生活を楽しみ、味わう一つの方法が太極拳かもしれません。5月は夏の始まりです。東京にまた夏がやってきます。良い汗をかいて、乗り切ってまいりましょう☆(^-^)

デュ・アン太極拳クラブ講師青山明子