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今月の漢方 2024.1月 耳鳴り 難聴 めまい

今月の漢方

この時期は五行論の「腎」に関するトラブルが多くなります。

「腎」は泌尿機能、生殖機能、耳と聴覚、腰と骨や関節、老化とのかかわりがあります。

今月は、耳鳴りと難聴によく使われる漢方薬の紹介です。

耳鳴りは片耳あるいは両耳に本人だけが認識できる音が断続的または継続的に鳴ることで、難聴やめまい、頭痛、吐き気を伴う事もあります。

原因は様々で大きくは①中耳や内耳の炎症や損傷、水の滞留によるもの、②鼻炎やかぜウイルスによる炎症に伴う内耳管の不良によるもの、③ストレスなどの精神障害による急性の音響性障害などによるものに分けられます。

また、高血圧症・糖尿病・動脈硬化・更年期障害・貧血症に伴って耳鳴りを感じる方もいらっしゃいます。

中医学では、耳鳴りや難聴は、外邪が侵入したり、体内で生まれた病理物質によって耳の感覚が妨げられたり、内臓の機能がおとろえて全身の活動に必要な基本物質(精・気・血・津液)が不足することで、五行論でいうところの腎・肝・心がアンバランスに陥った状態から発生すると考えられています。

滋腎通耳湯

<滋腎通耳湯>=じじんつうじとう

構成生薬: 黄芩(オウゴン) 黄柏(オウバク) 香附子(コウブシ) 柴胡(サイコ) 地黄(ジオウ) 芍薬(シャクヤク) 川きゅう(センキュウ) 知母(チモ) 当帰(トウキ) 白芷(ビャクシ)

本方は、肝血虚・腎陰虚(肝腎陰虚)により身体上部に熱がのぼり、気のめぐりが悪くなって発した耳鳴り、難聴などを改善する。補血の四物湯がベースとなり、肝血を補う。地黄(ジオウ)・知母(チモ)は腎陰を補い、知母、黄柏(オウバク)、柴胡(サイコ)、黄芩(オウゴン)が上部の熱に対応し、白芷(ビャクシ)、香附子(コウブシ)で気滞(気の流れの滞り)を去り鎮痙、鎮痛に働く。柴胡、芍薬(シャクヤク)のペアと香附子、白芷も含まれることからストレス性の耳鳴りにも使える。補腎作用が弱い時は六味丸と併用する。

効能効果: 体力虚弱なものの次の諸症:耳鳴り、聴力低下、めまい