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今月の漢方(処方-7)  温経湯

今月の漢方

(うん)(けい)(とう)は元来、不正性器出血に対する処方ですが、下腹部や腰の冷え、(けっ)(きょ)による月経不順、月経痛、更年期障害等の婦人科系の不調にも用いられます。冷えと瘀血の症候に加え、「(けつ)」の量が不足した血虚が続くと、皮膚が乾燥してバリア機能が低下し、かゆみや、ほてり、唇の乾燥等も現れます。温経湯はホルモンバランスを整えながら全身の状態をよくし、湿疹等の皮膚症状の改善にも効果があります。

構成生薬

温経湯の構成生薬は、呉茱萸・桂皮・当帰・芍薬・川芎・牡丹皮・半夏・生姜・麦門冬・阿膠・人参・甘草の12種類から作られています。呉茱萸と桂皮が経脈(気血の通り道)を温めて(かん)(じゃ)を除去します。当帰で補血し、芍薬は鎮痙に働きます。川芎と牡丹皮で活血させ、健胃作用のある半夏と生姜で消化吸収を促進し、麦門冬は補陰(ほいん)します。阿膠は「血」を補うと同時に不正な出血を抑えます。補気薬の人参は、消化機能を高め「気」の生成を増すことにより、体力を回復させます。日本では高麗人参や朝鮮人参と呼ばれ、別名オタニニンジンとも言います。甘草は、他の生薬の刺激性や毒性を緩和することから、多くの処方に配合されています。

構成生薬効  能性  味薬  対
() (しゅ) ()温中散寒、下気止痛辛・苦、熱・小毒
(けい) ()発汗解肌、温経通脈 通陽化気辛、温
(とう) ()補血、行血調経、潤腸辛、寒、脾芍 薬  川 芎
(しゃく) (やく)清熱涼血 活血化瘀苦、微寒芍   薬  川   芎
(せん) (きゅう)活血行気 袪風止痛辛、温芍 薬  当 帰
() (たん) ()清熱涼血、活血化瘀 清肝火苦・辛、微寒
 (はん) ()和胃止嘔、燥湿袪痰散結消腫辛、温生 姜
(しょう)(きょう)発汗解表、温中止嘔 解毒辛、微温半 夏
(ばく) (もん) (どう)潤燥生津・補陰 化痰止咳甘・微苦、微寒  ―
()  (きょう)止血、補血 補陰甘、平     ―
(にん)  (じん)補気、健脾、安神甘・微苦、微温
(かん)  (ぞう)補気、清熱解毒 止痛甘、平芍 薬

効能・効果(薬局製剤 121方の使い方)

手足がほてり、唇がかわくものの次の諸症:月経不順、月経困難、こしけ、更年期障害、不眠、神経症、湿疹、足腰の冷え、しもやけ