暑さが落ち着く処暑を過ぎ、暑さ凌ぎに楽しんだ夏芝居を振り返る❣️
まずは京都南座で正統派四谷怪談。いつも感じる玉三郎の美しさが旦那にコケにされる哀れさと恨みの念の恐ろしさを倍増させる。裏切る旦那は愛之助。色悪の役は色気と愛嬌もあるといい。仁左衛門が天下一品だが、今回玉三郎からお墨付きをいただいた大健闘の愛之助であった。
歌舞伎座一部は手塚治虫原作の新撰組。コロナで休みの成駒屋兄弟の代役が、勘九郎七之助とは豪華であった。手塚漫画のキャラクターを合間合間に見られ、ファンとしてはかなり嬉しい。昭和38年に書かれたこの漫画が訴えたのは反戦である。現代でも戦争をしている国があるなんて、1部の人間の愚かさには呆れて物が言えない。
三部はおなじみ猿之助幸四郎のやじきたシリーズ。今回は猿之助甥の団子と幸四郎息子の染五郎に身体を張らせ、余裕があるからセリフが弾む。先代先先代に可愛がられた御歳92歳の寿猿さんの宙乗りには客席も舞台上も大喝采👏その後の立ち回りは水を使った演出だ。役者たちが大騒ぎの水遊び、だいぶこちらも被った。夏芝居はこうでなくちゃ😄
最後は国立小劇場、尾上右近の自主公演研の會。若い人気役者とはいえロビーは人で溢れている。なんだか懐かしい、嬉しい光景だ。演目はかさねと実盛物語。二つともしっかりした芝居であり、かさねの文楽人形とのコラボは右近の瓜実顔が引き立ち美しい。人形のセリフは実父延寿大夫、三味線にはお兄さんの斎寿さんがいる。一家を挙げての熱演はこちらも応援のしがいがある。相手役が人形だと、殺しの場面では残酷さが増し、怨みの霊に呼び戻される場面では、その激しすぎる動きに圧倒された。
目一杯楽しんだ夏もお名残惜しいがそろそろ終わり。夏バテに気をつけて食欲、じゃなく芸術の秋に備えましょう👍