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今月の漢方(処方-6)  甲字湯

今月の漢方

(こう)()(とう)は、桂枝茯苓(けいしぶくりょう)(がん)に甘草と生姜を加えたものです。(写真は、主薬の桂皮の樹です)

桂枝茯苓丸は、()(けつ)と水分の停滞を改善しますが、煎じ薬にすると稀に胸にもたれて不快になることから、「嘔吐(おうと)(せい)(やく)」と言われる生姜と、食欲を増進させ消化機能を高める甘草を加え、胸元をすっきりさせる処方として甲字湯が構成されました。用途は、頭痛、肩こり、のぼせ、月経痛等、桂枝茯苓丸と同様の不調に用いられます。

構成生薬

甲字湯の構成生薬は桂皮、茯苓、牡丹皮、桃仁、芍薬、甘草、生姜の7種類から作られています。桂皮で血行を促進し、茯苓は健胃作用と利尿に働き余分な水分を取り除きます。牡丹皮と桃仁で活血させ、生姜は脾胃を温め、悪心・嘔吐・腹痛等を改善していきます。芍薬には赤芍(せきしゃく)白芍(びゃくしゃく)があり、赤芍は芍薬の根の外皮を付けたままのもので血の巡りをよくし瘀血を取り除きます。白芍は芍薬の根の外皮を除いて乾燥したもので鎮静鎮痛の力が強く、補血(ほけつ)(よう)(いん)に用いられます。薬対である芍薬と甘草は痙攣(けいれん)による痛みに有効です。

構成生薬効  能性  味薬 対
(けい)  ()発汗解表、止痛辛、温桃 仁
(ぶく)  (りょう)利水滲湿、健脾和中 寧心安神甘、平
() (たん) ()清熱涼血、活血化瘀 清肝火苦・辛、微寒桃 仁
(とう)  (にん)活血袪瘀 排膿、潤腸苦・甘、平牡 丹 皮
芍薬/赤芍
/白芍
清熱涼血、活血化瘀 補血、止痛苦、微寒 酸・苦、微寒甘 草
(かん)  (ぞう)補気、清熱解毒 止痛甘、平芍 薬
(しょう)  (きょう)発汗解表、温中止嘔 解毒辛、微温

効能・効果(薬局製剤 121方の使い方)

比較的体力があり、ときに下腹部痛、肩こり、頭重、めまい、のぼせて足冷えなどを訴える。次の諸症:月経不順、月経異常、月経痛、更年期障害、血の道症、肩こり、めまい、頭重、打ち身(打撲症)しもやけ、しみ