甲字湯は、桂枝茯苓丸に甘草と生姜を加えたものです。(写真は、主薬の桂皮の樹です)
桂枝茯苓丸は、瘀血と水分の停滞を改善しますが、煎じ薬にすると稀に胸にもたれて不快になることから、「嘔吐の聖薬」と言われる生姜と、食欲を増進させ消化機能を高める甘草を加え、胸元をすっきりさせる処方として甲字湯が構成されました。用途は、頭痛、肩こり、のぼせ、月経痛等、桂枝茯苓丸と同様の不調に用いられます。
構成生薬
甲字湯の構成生薬は桂皮、茯苓、牡丹皮、桃仁、芍薬、甘草、生姜の7種類から作られています。桂皮で血行を促進し、茯苓は健胃作用と利尿に働き余分な水分を取り除きます。牡丹皮と桃仁で活血させ、生姜は脾胃を温め、悪心・嘔吐・腹痛等を改善していきます。芍薬には赤芍と白芍があり、赤芍は芍薬の根の外皮を付けたままのもので血の巡りをよくし瘀血を取り除きます。白芍は芍薬の根の外皮を除いて乾燥したもので鎮静鎮痛の力が強く、補血養陰に用いられます。薬対である芍薬と甘草は痙攣による痛みに有効です。
構成生薬 | 効 能 | 性 味 | 薬 対 |
桂 皮 | 発汗解表、止痛 | 辛、温 | 桃 仁 |
茯 苓 | 利水滲湿、健脾和中 寧心安神 | 甘、平 | ― |
牡 丹 皮 | 清熱涼血、活血化瘀 清肝火 | 苦・辛、微寒 | 桃 仁 |
桃 仁 | 活血袪瘀 排膿、潤腸 | 苦・甘、平 | 牡 丹 皮 |
芍薬/赤芍 /白芍 | 清熱涼血、活血化瘀 補血、止痛 | 苦、微寒 酸・苦、微寒 | 甘 草 |
甘 草 | 補気、清熱解毒 止痛 | 甘、平 | 芍 薬 |
生 姜 | 発汗解表、温中止嘔 解毒 | 辛、微温 | ― |
効能・効果(薬局製剤 121方の使い方)
比較的体力があり、ときに下腹部痛、肩こり、頭重、めまい、のぼせて足冷えなどを訴える。次の諸症:月経不順、月経異常、月経痛、更年期障害、血の道症、肩こり、めまい、頭重、打ち身(打撲症)しもやけ、しみ
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