一年を通じて皮膚トラブルのお悩み相談は多く、表面上の改善を優先する治療から抜け出せなかったり、それによって自然治癒力が十分発動できずかえって様々なお悩みを抱えやっと漢方に行き着くお客様も。
どの世代も根本治療には生活養生が必須ですが、同時に、幼少期の皮膚トラブルは消化機能を強める、成人はストレスで悪化する場合には疏肝解鬱、睡眠不足や過労が要因となる場合には補血補陰するなど対策が異なります。
今回は、皮膚トラブルの症状改善にこの時期よく使われる処方をご紹介します。
柴胡清肝湯
四物湯と黄連解毒湯に排膿作用のある桔梗、風熱を発散する薄荷などが薬味として使われる。
体形は痩せ型か筋骨質で、首が細く胸も狭い。皮膚は浅黒くくすんだ者が多い。腹直筋は緊張して、くすぐったがりの小児が多い。
効能効果:かんの強い傾向のある小児の次の症状:神経症、慢性扁桃腺炎、湿疹
当帰飲子
四物湯が主体となり、荊芥・防風の発表薬を加え、さらに鎮静効果のあるシツリシ、肝腎の陰を補い止痒効果のある何首鳥、皮膚の栄養剤として名高い黄耆が加えられている。
とくに老人性掻痒症などのように赤みは無く、乾燥した状態、青壮年の場合でも皮脂が少なく枯燥し、灼熱感のない皮膚トラブルには奏効する。
効能効果:冷え症のものの次の諸症:慢性湿疹、かゆみ
温清飲
四物湯と黄連解毒湯の合法。
四物湯は血行を良くして血を補うので、女性(陰性)によく用いられる。
血行が悪く、且つ、血に熱を帯びた状態で皮膚は色つやが悪く乾燥、時に赤黒く、時に紫、時に出血斑を伴う状態に使われる。
効能効果:皮膚の色つやが悪く、のぼせるものの次の諸症:月経不順、月経困難症、血の道症、更年期障害、神経症