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今月の漢方 膀胱炎(腎・膀胱)

今月の漢方

今月の漢方 膀胱炎

膀胱炎には、急性膀胱炎と慢性膀胱炎があります。急性膀胱炎の多くが細菌の感染によるものです。健康な人の尿は透明の薄黄色だが、膀胱や尿道の粘膜に炎症が起きると、白っぽく濁ったり、褐色になったり、血液が混じって薄いピンクになることがあります。頻繁な尿意と排尿の始めにじわっとした痛みを感じるのが急性膀胱炎の特徴です。  夏は、過度の冷房による冷えや、汗をかいて脱水を起こしやすいだけでなく、尿量が減って、急性膀胱炎になりやすい時期でもあります。水分不足に陥ると、膀胱や尿道に炎症が起こりやすくなります。 本来ならば、細菌が膀胱内に入ったとしても、排尿することで洗い流される仕組みがありますが、水分の摂取不足や汗で身体の水分が失われると、尿量が減り、濃縮された尿の中で細菌(約80%が大腸菌)が培養されやすくなります。また、男性より女性の方が尿道が短いため細菌が入りやすく、膀胱炎にかかりやすいです。膀胱の状態が良ければ多少の細菌が入ってきても炎症を起こすことはないが、トイレをがまんしたり、ストレスが溜まりすぎたり、疲れが取れなかったり、冷えが強かったり…このような状況が重なることで本来の恒常性(自然治癒力)が低下し、感染しやすくなります。

漢方では、膀胱、尿路のトラブルを淋証(石淋・気淋・膏淋・労淋・熱淋・血淋)といいます。具体的な症状は、次のようになります。

石淋(せきりん)尿路結石や膀胱結石を伴う
気淋(きりん)ストレスや悩み事などでトイレの回数が増える神経性頻尿
膏淋(こうりん)尿がクリームや米のとぎ汁状ににごる
労淋(ろうりん)過労や房事(性交渉)過多からくる排尿異常
熱淋(ねつりん)焼けつくような排尿時の痛み
血淋(けつりん)血尿を伴う

膀胱炎によく使われる漢方

膀胱炎は、湿邪・熱邪により炎症を起こした状態(膀胱湿熱)であり、頻尿、排尿痛、時には血尿、尿が濁る、尿が出渋るなどの症状が現れる。清熱利水の猪苓湯が良く使われます。血尿を伴う場合も、止血の働きのある阿膠が配合されている猪苓湯を用います。尿が濁る、炎症がひどい、排尿痛がひどい場合は、清熱解毒の竜胆瀉肝湯が使われます。膀胱炎をくり返す場合は、猪苓湯が良く使われます。症状が軽い場合は、身体の状態に応じて、加味逍遥散、当帰芍薬散、六味丸などが使われます。

猪苓湯>=ちょれいとう

構成生薬: 猪苓()・茯苓・沢瀉・滑石・阿膠

猪苓湯の特徴は「利水清熱()」と「寺院止血じいんし)滋陰止血」です。茯苓、猪苓、沢瀉は利水作用、滑石は清熱利水と止瀉作用、阿膠は滋陰養血と止血の働きがある。

効能効果: 尿量が減少し、尿が出にくく、排尿痛あるいは残尿感のあるもの

竜胆瀉肝湯>=りゅうたんしゃかんとう

構成生薬: 竜胆・黄ゴン・山梔子・沢瀉・木通・車前子・当帰・地黄・甘草

竜胆瀉肝湯の特徴は「清熱瀉火」、「清熱燥湿」と「疎肝解鬱」です。竜胆は、燥湿、清熱瀉火の作用、黄ゴン、山梔子は清熱瀉火の作用、沢瀉、木通、車前子は利尿作用、当帰と地黄は補血作用、甘草は諸薬を調和させる働きがある。

効能効果: 比較的体力があり、下腹部筋肉が緊張する傾向があるものの次の諸症;排尿痛、残尿感、尿の濁り、こしけ