デュ・アン太極拳クラブの皆様
ウェブページをご覧の皆様
2021年8月の練習について、ご連絡申し上げます。
今月は4、11、18、25と水曜日の練習は4回を予定しております。練習会場はいずれの日も赤羽文化センターを使用します(時間は9:30-11:15)。新型コロナ感染予防につきまして、緊急事態宣言期間にあたりますので必要な事項を守りながら注意して参りましょう。教室ではお互いに適度な距離をとれるようにし、換気扇を回したり、換気に注意して練習を行いたいと思います。
引き続き、施設利用に関して以下のようなルールがありますので遵守の上ご参加くださるようお願い致します。
①ご自宅で検温の上お越しください
(37.5℃以上の発熱、体調がすぐれない場合は参加をご遠慮ください)
②室外および共用部にて、マスクを外しての大きな声での会話を控えること
③こまめな手洗い、アルコール等による手指の消毒
等々
詳細はまた教室にて確認していきます。
床に座っての柔軟体操が心配なかたはバスタオル等の敷物をお持ちください。
施設利用に関して変更等が生じた場合はメールにて皆様にご連絡致します。
そのほか、何か気がかりな点がありましたらお気軽にお尋ねください。
― 世界大戦を食い止めようとした人:シルビオ・ゲゼル ―
8月7日の立秋が近づくにつれて、高く澄んだ青空が見られるようになってきました。
日本の暑い季節はお盆の風習があり、お彼岸同様にご先祖様に想いを馳せる季節です。また日本に暮らす多くの人にとって、8月は過去の戦争の記憶を振り返り、未来の子どもたちのために、より良い世界のあり方を意識的に想い描く時期でもあります。
第二次世界大戦の頃、小学生だった私の父は学校から帰ると自宅付近が空爆されていて、樹木や飼われていた動物たちが真っ黒に焼けていて愕然とした、という経験を私が大人になってから伝えてくれました。小さな農村でさえ、そうした状況でした。都市部の筆舌に尽くし難い惨状、とりわけ原子爆弾投下による戦争被害は大量の歴史的資料あるいは芸術作品を通じて後世の私たちに伝えられています。
1945年8月6日
広島市にウラン型原子爆弾「リトルボーイ」が投下される
8月9日
長崎市にプルトニウム型原子爆弾「ファットマン」が投下される
広島と長崎の被害を合わせると15万から24万6千人が亡くなったと推定されています。事前警告なしでの使用では一般市民の退避勧告ができない、と異議を唱えた米国政府高官もいたことが後に明らかになっています。なぜならそうした攻撃は国際法に違反した人道に反する大罪にあたるためです。
しかし、結局は事前警告なしに、ウラン型、プルトニウム型それぞれの破壊力を目視観測できる「適切な天候の日」に投下されることが決定され、原子爆弾投下の候補地に対してはあらかじめ通常の空爆が禁止となっていました。都市の破壊状況をより正確に観測するため、とされています。
当時、原子爆弾の開発は日本軍部の中でも行われていたことが事実として確認されていて、その後核兵器の開発は世界中で行われています。
2017年に国際連合総会で核兵器禁止条約が採択されましたが、核保有国は一様に採択を拒否しています。人類はいかにして今の状況を作り出してしまったのでしょうか。
経済、貨幣のシステムを変える必要がある、さもなければ人類は歴史上かつてない凄惨な戦いに突入していくであろうと、第二次世界大戦勃発をその20年以上前から強く警告していた人物が存在します。ドイツ出身のビジネスマンだったシルビオ・ゲゼルです。
ゲゼルは第一次世界大戦が終結した1918年から、ベルリンの新聞社の編集部あてに論説を書き送り続けていました。
「もし、現在の貨幣システム、プラス利子にもとづく経済が是認され、継続されるならば、現時点からおそらく25年も経たないうちに、結局は、新たな、一段と悲惨な戦争に我々は直面するだろう」と指摘していたのです。
(Robert Mittelstaedt “Michael Ende’s Last Words to the Japanese” 試訳 青山明子)
ゲゼルは広く当然視されている貨幣の仕組みが人類に破滅的影響をもたらすことを鋭く見抜いた経済研究のエキスパートでもありました。そして同時代に、同じドイツで同様の主張を行ったのは、日本でも知られている「シュタイナー教育」の提唱者ルドルフ・シュタイナーです。
ゲゼルの人生をかけた、おびただしい量の論説や講演による貨幣システム改善の提案と実践の試みも最終的には政治的圧力により封じ込められ、ゲゼルが警告した通り、21年後の1939年9月1日、ドイツ軍によるポーランド侵攻を発端に人類は第二次世界大戦に突入していったのです。
第二次世界大戦終結から四半世紀が経ち、封印され、忘れられたゲゼルとシュタイナーの貨幣システムの思想に新たな命が吹き込まれました。
「すでに第三次世界大戦は始まっている」と幾度も訴え続けたのは、時間どろぼうから街の仲間を救った小さな女の子の物語『モモ』を通じて貨幣システムの問題を伝えようとした作家のミヒャエル・エンデです。
「アインシュタインの物理学が原子爆弾につながるのは偶然ではない。人間の意識や存在には影響されない客観的な実在から出発した物理学の帰結は人間を文字通り排除するのである」
「問題は全科学が自負する客観性なのです・・自然科学とその一連のものが計測、計算できるものだけを現実として認めるということです。それは現実のあくまでも一部であり、もしかしたら最も重要な部分でさえないかもしれないわけです」
(河村厚徳ほか『エンデの遺言』)
ゲゼル、シュタイナー、エンデは、人間が自分たち自身をもっとよく知るための知的探求と実践に果敢にチャレンジし、未来のための大切な贈り物を残してくれています。わが家のカンフー小学生も少しずつその贈り物を紐解きながら理解を進めています。
「今日」という日が自分に与えられているならば、「昨日」の自分を超えていく学びができるはずだ、と私は考えています。そして太極拳も大いにその助けになってくれると信じて練習を続けています。
8月も基礎を大切に皆さんと練習していきたいと思います。
(^-^)
デュ・アン太極拳クラブ講師
青山明子