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4月の漢方 めまい

今月の漢方

めまいには周囲がグルグル回るように感じる回転性めまい、体がふらつくような浮動性めまい、立ち上がった時にクラっとくる立ちくらみなどがあります。

 特にめまいの特にめまいの症状を訴える方が多いのが季節の変わり目です。冬から春にかけてのご相談が多く自律神経の乱れも関係しています。

写真は、左から、苓桂朮甘湯りょうけいじゅつかんとう五苓散ごれいさん半夏白朮天麻湯はんげびゃくじゅつてんまとう当帰芍薬散とうきしゃくやくさん抑肝散加陳皮半夏よくかんさんかちんぴはんげです。

めまいの原因は主に、「水」がたまったり、偏った状態の「水滞」と考えられ、タイプによっては「血」や「気」などの異常ととらえるものもあります。

「水滞」がある場合、「苓桂朮甘湯」や「五苓散」がよく用いられます。

「苓桂朮甘湯」の主薬となる茯苓・白朮は健脾作用で、胃腸の働きを高めると同時に利水作用で痰飲を除きます。桂皮は首から上の巡りをよくし、温めて血管を拡張させることで利水作用を増強し、甘草が諸薬の働きを調和します。

「五苓散」は利水作用をもつ猪苓・沢瀉・茯苓・白朮の4つと、血管を拡張させて利水作用を強化する桂皮を組み合わせたものになります。

※苓桂朮甘湯と五苓散の効能又は効果(薬局製剤業務指針)を参考にしてください。

 苓桂朮甘湯:立ちくらみ、頭痛、胃内停水感などがあるもの、心悸亢進症、めまい、胃下垂、胃アトニー

 五苓散:のどが渇いて、尿量が少なく、はき気、嘔吐、腹痛、頭痛、むくみなどのいずれかを伴う次の諸症:水瀉性下     痢、急性胃腸炎(しぶり腹のものには使用しないこと)、暑気あたり、頭痛、むくみ

胃腸が虚弱で消化機能の弱い人がめまいや頭痛を発症した場合は「半夏白朮天麻湯」を用います。めまいを主訴とする半夏白朮天麻湯の中で、めまいを正す生薬は天麻だけです。あとは原因となる脾気虚と痰湿を正す生薬の組み合わせで、消化吸収や全身の新陳代謝を促進し、利尿によって体内の余分な水分の停滞を取り除いてめまい・嘔吐・頭痛などを改善します。

※半夏白朮天麻湯の構成生薬と効能又は効果(薬局製剤業務指針)を参考にしてください。

 構成生薬:半夏、白朮、蒼朮、陳皮、茯苓、麦芽、天麻、生姜、紙麹、黄耆、人参、沢瀉、黄柏、乾姜

 効能効果:胃腸虚弱で下肢が冷え、めまい、頭痛などがあるもの

ストレスを発散できずに起こる自律神経の興奮(肝気鬱結)を改善する処方に「抑肝散」があります。それに痰飲の症状(手足の震え、吐き気など)が加わったものが「抑肝散加陳皮半夏」です。

主薬となる釣藤鈎・柴胡は、鎮静作用で自律神経の興奮を鎮め、当帰・川芎で補血して滋養。健脾作用で消化吸収を高め、全身の栄養状態を改善させます。「抑肝散加陳皮半夏」の陳皮・半夏は、体内から痰飲を除いて悪心や嘔吐を鎮めたり、喉の異物感、腹部の膨満感などを改善させる作用を持ちます。

 ※抑肝散加陳皮半夏の構成生薬と効能又は効果(薬局製剤業務指針)を参考にしてください。

 構成生薬:当帰、川キュウ、茯苓、白朮、柴胡、甘草、釣藤鈎、陳皮、半夏

 効能効果:虚弱な体質で神経がたかぶるものの次の諸症:神経症、不眠症、小児夜なき、小児疳症

その他、高血圧傾向でイライラや朝方に起こる頭痛や頭重感に「釣藤散」がおすすめです。主薬の釣藤鈎は平肝清熱(脳の興奮や自律神経系の緊張緩和)の作用があり、鎮静・鎮痙・降圧効果に優れています。

全体的に清熱作用で体を乾燥させる処方となっているため、麦門冬で潤して燥性を和らげています。

 ※釣藤散の構成生薬と効能又は効果(薬局製剤業務指針)を参考にしてください。

 構成生薬:釣藤鈎、橘皮、菊花、防風、半夏、麦門冬、茯苓、人参、生姜、甘草、石膏

 効能効果:慢性に続く頭痛で中高年以降、または高血圧の傾向のあるもの