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蘇葉(そよう) 紫蘇子(しそし)

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写真は、紫蘇(赤紫蘇)の葉です。朝、梅干しを漬けるために収穫したとのことです。(7月13日、山寺のお土産屋さんの店頭にて撮影)

生薬名は、紫蘇の葉を「蘇葉そよう」、実を「紫蘇子しそし」と言います。

紫蘇は独特の香りを持ち、葉の色によって赤紫蘇(アカジソ)と青紫蘇(アオジソ)に大別されます。葉のしわが多いものはチリメンジソと呼ばれています。

梅干しに使われるのは赤紫蘇の葉です。梅干しに含まれているクエン酸と赤紫蘇に含まれている色素(アントシアン系のシアニジン)が反応して独特の赤い色がでます。さらに、紫蘇の成分が塩分と反応して防腐効果がさらに高まり、長期保存が可能になります。また、美容・健康飲料として話題のしそジュースも赤紫蘇の葉を使います。赤紫蘇の葉と砂糖を煮込み、ゆであがってからクエン酸(お酢やレモン汁でも可)を入れるとキレイな赤色に変わります。葉を乾燥させたものは七味唐辛子に配合されたり、ふりかけなどにも用いられます。


写真は、大葉です。梅雨に入ったころから、野菜売り場で鮮やかな緑色の大葉を見かけるようになりますが、大葉は青紫蘇の若葉です。とても良い香りで、この時期の薬味として最適です。写真を撮った後、お素麺の薬味として美味しくいただきました。

また、若芽、花穂、実も主に刺身や手巻き寿司、冷奴などの料理の香味付けや添え物、魚の臭み消しなどにも使われます。

このように、とても身近な食材ですが、日本薬局方にソヨウ(蘇葉)として掲載されています。用途は漢方処方用薬(漢方処方に配合する生薬)であり、去痰・鎮咳・健胃・発汗・解熱・解毒、抗アレルギー作用などがある漢方処方に配合されています。


(2020.8.2 東京薬用植物園にて)

蘇葉の漢方的な分類

・辛温解表(主に、味は辛く、温める働きがあり、発汗作用がある)の働きがある。

解表散寒 ‥ 外感風寒表証(風邪)の軽症 ー香蘇散(こうそさん) 

     ‥ 外感風寒があり、咳が出る -杏蘇散(きょうそさん)

行気 ‥ 脾胃気滞の吐き気、嘔吐 -半夏厚朴湯(はんげこうぼくとう)

解魚貝毒 ‥ 魚介類の中毒による嘔吐、腹痛、下痢 -香蘇散(こうそさん)

蘇葉が配合されている漢方処方と効能効果

藿香正気散(かっこうしょうきさん):夏の感冒、暑さによる食欲不振・下痢・全身倦怠

杏蘇散(きょうそさん):せき、淡

鶏鳴散加茯苓(けいめいさんかぶくりょう):下肢に倦怠感があり、知覚がにぶり、ふくらはぎの緊張を覚え、圧痛があり心悸亢進、下肢浮腫の脚気よう症状を呈するもの

香蘇散(こうそさん):胃腸虚弱で神経質の人の風邪の初期

柴朴湯(さいぼくとう):気分がふさいで、咽喉、食道部に異物感があり、時に動悸、めまい、吐き気などを伴う次の諸症 ー小児ぜんそく、気管支ぜんそく、気管支炎、咳、不安神経症

参蘇飲(じんそいん):感冒、せき

神秘湯(しんぴとう):小児ぜんそく、気管支ぜんそく、気管支炎

半夏厚朴湯(はんげこうぼくとう):気分がふさいで、咽喉、食道部に異物感があり、時に動悸、めまい、吐き気などを伴う次の諸症 ー不安神経症、神経性胃炎、つわり、咳、しわがれ声

紫蘇子の漢方的分類

・止咳平喘(咳嗽、喘息を緩解する)の働きがある。

下気消痰平喘 ‥ 咳、痰、喘息 -蘇子降気湯(そしこうきとう)

蘇葉が配合されている漢方処方と効能効果

蘇子降気湯(そしこうきとう):足冷えのある人の慢性気管支炎で多少呼吸困難の傾向のあるもの