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薬草のはなし vol.16 牡丹皮(ボタンピ)

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百花の王と称えられている牡丹ですが、美しい花のみならず、その根は牡丹皮といい、婦人病の漢方薬の原料として代表的な生薬です。

牡丹の「牡」は雄のことです。牡丹は種子ができにくいことから雄の花とみなされていました(黄色い雄しべの中に雌しべが隠れている)。「丹」は、赤のことです。食べ物にも牡丹の名はよく使われています。「ぼたもち」は「牡丹餅」とかきます(春のお彼岸の時に食べる)。「おはぎ」は萩が咲く秋のお彼岸に食べる餅であり同じものです。

「立てば芍薬、座れば牡丹、歩く姿は百合の花」という言葉がありますが、芍薬も牡丹も共に美しい花であり、百合は清楚な花であることから、美人の姿や立ち居振る舞いを花に見立てて形容しています。芍薬はすらりと伸びた茎の先端に華麗な花を咲かせ、牡丹は枝分かれした横向きの枝に花をつける。百合は風を受けて揺れるさまが美しい。これらのことから、芍薬は立って見るのが一番美しく、牡丹は座って見るのが一番美しく、百合は歩きながら見るのが一番美しいという説があります。また、芍薬はまるで美しい女性が立っている姿のよう、牡丹は美しい女性が座っているよう、百合は美しい女性が歩く姿のようだなど、諸説があります。次に漢方的な解釈をご紹介します。“立てば芍薬”は、立って、めまい・立ち眩みがするときは、貧血(血虚)が考えられるので、血を補う芍薬を飲むと良い。“座れば牡丹”は、座りっぱなしだと血の流れが悪くなる(お血)ので、その時は牡丹の根を飲むと良い。“歩く姿は百合の花”は、歩く姿(特に後ろ姿に)に精神状態が現れるので、不安定な時は、百合の根を飲むと良い。

牡丹皮の漢方的な分類

<清熱涼血>の働きがある

・虫垂炎 ー大黄牡丹皮湯

・陰虚内熱 ー六味地黄丸料

<活血化瘀>

・瘀血、月経不順 ー桂枝茯苓丸料、キュウ帰調血飲第一加減

牡丹皮が配合されている漢方処方と効能効果

※漢方212処方(薬局製剤)のうち、15処方に配合されています。主な処方の効能効果を記載します。

・温経湯(うんけいとう):月経不順、月経困難、こしけ、更年期障害、不眠、湿疹、足腰の冷え、しもやけ

・加味帰脾湯(かみきひとう):貧血、不眠症、精神不安、神経症

・加味逍遥散(かみしょうようさん):冷え性、虚弱体質、月経不順、月経困難、更年期障害、血の道症

・キュウ帰調血飲第一加減(きゅうきちょうけついんだいいちかげん):血の道症、産後の体力低下、月経不順

・桂枝茯苓丸料(けいしぶくりょうがんりょう):のぼせ症で、血色よく、頭痛、肩こり、めまい、下腹部痛、足腰の冷えあるいはうっ血などを伴うもの、月経不順、月経困難症、打撲症、婦人更年期障害

・牛膝散(ごしつさん):月経困難、月経不順、月経痛

・折衝飲(せっしょういん):月経不順、月経痛

・大黄牡丹皮湯(だいおうぼたんぴとう):月経不順、月経困難、便秘、痔疾

・八味地黄丸料(はちみじおうがんりょう):下肢痛、腰痛、しびれ、老人のかすみ目、排尿困難、頻尿、むくみ

・六味地黄丸料(ろくみじおうがんりょう):排尿困難、頻尿、むくみ、かゆみ

※加味逍遥散合四物湯、キュウ帰調血飲、桂枝茯苓丸加ヨクイニン、甲字湯、牛車腎気丸にも配合されています。