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薬草のはなし 桜皮(おうひ)

薬草のはなし

写真は、八重桜(2020.4.12 撮影)ですが、生薬の桜皮は、ヤマザクラの樹皮を使います。因みに、奈良県吉野山のサクラはほとんどがヤマザクラと同種とのことです。サクラの仲間は、日本では種類が多く日本古来の植物の一つです。国花に指定されているし、今は「お花見」と言えばもちろん桜ですが、奈良時代までは、梅の鑑賞がほとんどだったようです。飛鳥時代から奈良時代に編纂された『万葉集』では、桜を詠んだ歌は43首、梅は約110首が収められていますが、平安時代に編纂された『古今和歌集』では、桜が70首、梅が18首となっており、大幅に桜の歌が増えています。平安時代以降は、「お花見」が貴族階級から一般庶民にも徐々に広まってきたのでしょう。


 桜皮は清熱解毒せいねつげどく清肺止咳せいはいしがいに分類され、解毒、鎮咳、去痰作用などが知られています。桜皮が配合されている処方に「十味敗毒湯ジュウミハイドクトウ」があります。

 ※十味敗毒湯の構成生薬と構成生薬と効能効果(薬局製剤業務指針・効能又は効果)を参照してください。

  構成生薬:柴胡、桜皮、桔梗、川キュウ、茯苓、独活、荊芥、防風、生姜、甘草

  効能効果:化膿性皮膚疾患、急性皮膚疾患の初期、じんましん、急性湿疹、水虫

 十味敗毒湯は華岡青洲ハナオカセイシュウによって考案された漢方処方で、「荊防敗毒散けいぼうはいどくさん」を元に作られたとされています.荊防敗毒散は荊芥、防風、羌活、独活、柴胡、前胡、薄荷、連翹、桔梗、枳殻、川芎、金銀花、茯苓、甘草、生姜の15種の生薬から構成されており、そこから独活、前胡、薄荷、連翹、枳殻、金銀花を除き、桜皮を加えたものが十味敗毒湯にないります。  

 十味敗毒湯は、中国で使用されてきた荊防敗毒散が日本人によって日本人に合わせた処方に加減され進化した処方であると言えます。また、桜皮エキスは、現在でも鎮咳・去痰薬として多くのせき止めやたん切りのシロップ剤に配合されています。