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桃仁(とうにん)

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 写真は、桃の果実です。東京都薬用植物園にて撮ることができました。(2020.6.2)もう少し熟してきたら、美味しく食べられますね。

 私が小学生だった頃、庭に大きな桃の木がありました。毎年幾つか実をつけてくれましたが、ちょうど写真の様に少し赤味がかった頃に食べていました。なぜ、熟す前に(青いうちにと言っていました)食べるかというと、そこまで待っていたら、虫にほとんど食べられてしまうからです。半分は、虫が食べて(果肉の中に入って、食べ廻る)、残り半分をいただいているような感じでした。ちょっと硬くて甘酸っぱいが、虫さんと分け合って(虫さんにも分けてあげているという気持ちで)、美味しくいただいたことを懐かしく思い出しました(笑)

桃は、中国が原産で、日本でも『古事記』や『日本書記』にでてくるように、古くから自生しています。中国では、昔から、栄養が豊富で、さらに邪気をはらい魔除けの力もあると考えられ「不老長寿の仙果」「仙人の果実」などと言われてきたようです。

『古事記』には、伊耶那岐命イザナギノミコトが霊界の鬼女(元は奥様)から逃れるため「桃の実」を投げる場面がありますし、もっと親しみのあるところでは、桃から生まれた“桃太郎”も鬼退治をします。これらの物語からも「桃=邪気払い」になるという考え方が日本でも浸透していたと言えますね。 桃は3月3日のひな祭り「桃の節句」にも欠かせない存在ですが、ひな祭りは体のけがれを祓い、健康を祈る「上巳じょうしの節句」が始まりとされています。

桃の果肉には、ナイアシン(ビタミンB3)、カリウム、食物繊維、カテキンなど重要な栄養成分が豊富に含まれており、美容・健康・アンチエイジングにとても良いと言えます。まさに「仙人の果実」と言われる所以ですね。

桃の葉も、民間療法(お茶や入浴用)として古くからよく使われています。梅雨の時期から夏の間は、あせも対策、おむつかぶれ対策、美肌対策など、入浴用として特におすすめです。

写真は、桃の種です。桃の果肉を取り除く(美味しくいただく)と硬い殻がでてきますが、その中にあるのが種でありにんとも言います。アーモンドと見分けがつかないほど似ています。生薬名は桃仁(とうにん)です。後日またご紹介しますが、杏子あんずの種・杏仁きょうにんも瓜二つです。

桃仁の効能効果

活血化瘀かっけつかお: 血の滞りを改善、血行を促進する。

 ・生理不順、無月経、生理痛、頭痛など ー桂枝茯苓丸けいしぶくりょうがんなど

潤腸通便じゅんちょうつうべん: 脂肪油の働きで腸を潤し、排便を促進する。特に乾燥性の便秘に適用します。

 ・腸燥便秘(大腸が乾燥しコロコロ便)など -潤腸湯じゅんちょうとうなど

桃仁が配合されている漢方処方

芎帰調血飲第一加減 桂枝茯苓丸 甲字湯 牛膝散 潤腸湯 折衝飲 疎経活血湯 大黄牡丹皮湯 桃核承気湯