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吉右衛門様

オーナーブログ

大好きな中村吉右衛門様がとうとう亡くなってしまった。親、親戚より悲しいなんて言ったら不謹慎だが、それが本音だ仕方ない。何十年も前から憧れの男で理想の上司、そして頼れる旦那様といった感覚をずっと持っていたのだから、おいそれと忘れられない。
弁慶の立ち往生をドラマで見て驚いた。実際こんな感じだったのかと納得してしまったのだ。気迫溢れた弁慶が義経を守り立ったまま死ぬ。魂が抜けて行く顔の変化をまだ覚えている。歌舞伎で観る弁慶は顔良し声良し姿良しで誰よりもvぴったりハマっていた。
鬼平犯科帳では、池波正太郎の原作そのまんまの世界が描き出されていた。厳しさと情の深さを併せ持つ平蔵は唯一無二、愛嬌ある笑顔の吉右衛門様以外考えられない。印象的なエンディングテーマと共に映る江戸の四季の風景は、美しくどこか懐かしかった。笑顔といえば孫の初舞台を見守る、底なしの笑顔。幸せそのものでこちらも楽しくなった。
足が弱ってからの最後に見た俊寛は、島から離れていく船を見送る眼が忘れられない。仏像のように静かに無であった。
たまたま亡くなる直前に見たシネマ歌舞伎が熊谷直実である。時間の無い中無理やり行った。しかも最終日、なんだか泣けてしかたなかった。倒れてからのニュースがまったく出てこないのは、よくない証拠。予感は当たりついにもう見られ無くなってしまった。
ご冥福をお祈りします。いつも感動をありがとうございました。

しかし後輩たちは確実に力をつけ背中を追っている。舞台を見ればきっと安心してくれるはずだ。

どうぞ安らかに🙏