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今月の漢方(処方-5)  芎帰調血飲第一加減

今月の漢方

芎帰調血飲(きゅうきちょうけついん)第一(だいいち)加減(かげん)は、疲れやすくイライラしたり、手足の冷えや月経不順、月経痛、産後の()()の改善等に用いられます。婦人は月経、妊娠、出産、産後、更年期等、女性ホルモンの変動により、些細な事で怒りやすくなったり、不安感が出たり、貧血や動悸、頭痛、めまい等、精神的な症状と身体的な症状の両方が現れます。このような女性特有の病態を漢方用語で「血の道症」と言い、芎帰調血飲第一加減は血の道症を訴える方に効果があります。

構成生薬

芎帰調血飲第一加減の構成生薬は当帰(とうき)()(おう)茯苓(ぶくりょう)()(やく)牡丹皮(ぼたんぴ)大棗(たいそう)生姜(しょうきょう)川芎(せんきゅう)白朮(びゃくじゅつ)陳皮(ちんぴ)香附子(こうぶし)(やく)母草(もそう)(かん)(ぞう)(とう)(にん)紅花(こうか)()(じつ)桂皮(けいひ)()(しつ)(もっ)(こう)延胡索(えんごさく)芍薬(しゃくやく)の21種類から作られています。元々は悪露を取り除く処方の為、()(けつ)を下す作用が強いのが特徴です。月経調整の基本処方の四物(しもつ)(とう)(当帰、地黄、川芎、芍薬)で補血・活血をし、茯苓、白朮、大棗、甘草は脾胃の機能を向上させながら、体内の水分調整に働きます。瘀血が原因となる下腹部の痛みには駆瘀(くお)(けつ)(やく)の牡丹皮、益母草、延胡索、桃仁、紅花、牛膝が鎮痛に働きます。牛膝には「下行」する性質があり、多くの生薬の効能を下半身に導く(いん)(けい)(やく)としても用いられます。理気作用のある烏薬、陳皮、香附子、枳実、木香で気の滞りを改善させ、生姜と桂皮は血液循環を促進させ体を温めます。

構 成
生 薬
効  能性  味 薬 対
(とう) ()補血、行血 調経、潤腸甘・辛、温 芍 薬
() (おう)滋陰、補血甘、微温  ―
(ぶく) 苓(りょう)利水滲湿、健脾和中 (ねい)(しん)安心(あんしん)甘、平  ―
() (やく)理気、止痛 温裏辛、温    ―
() (たん)()清熱涼血、活血化瘀 清肝火苦・辛、微寒桃  仁
(たい (そう)補脾胃、 養営安心、緩和薬性甘、温生  姜
(しょう)(きょう)発汗解表、    温中止嘔、解毒 辛、微温 大  棗
(せん)(きゅう)活血行気、 袪風止痛 辛、温甘 草 芍  薬
(びゃく) (じゅつ)健脾 補気、燥湿利水 甘・微苦、温       ―
(ちん) ()理気健脾、 燥湿化痰辛・苦、温       ―
(こう) ()()理気、疏肝、  調経、止痛 辛・微苦・ 微甘、平      ―
(やく) ()(そう)活血調経 行血袪瘀辛・微苦、微寒 
(かん) (ぞう)補気、清熱解毒 止痛甘、平芍 薬 川 芎
(とう) (にん)活血袪瘀、排膿 潤腸苦・甘、平牡 丹 皮
(こう) ()活血化瘀 通経・止痛 辛・微苦、温    ―
() (じつ)理気・袪痰 健脾 苦、微寒    ―
(けい) ()温中補陽、散寒止痛 温経脈辛、温桃  仁  甘 草
() (しつ)活血、通経、止痛 強筋骨、通淋 苦・酸、平    ―
(もっ) (こう)理気、止痛、健脾辛・苦、温    ―
(えん)()(さく)活血、理気、止痛辛・苦、温   ―
(しゃく)(やく)補血、止痛 苦、微寒甘  草  川 芎

効能・効果(薬局製剤 121方の使い方)

 血の道症、産後の体力低下、月経不順