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今月の漢方  2023.4月 不眠

今月の漢方

新年度の始まりです。都内では入社式や入学式にはすでに桜も咲き終わり、若葉が出迎えてくれています。

環境の変化がある方、ない方、様々ですが、この時期に増える相談は「不眠」です。寝つきが悪い、日中眠くて夜眠れない、夢ばかり見て眠りが浅いなどお悩みも人それぞれ。睡眠の質が悪いと、身体の構成成分“氣”“血”の量や質も低下し心身共に不調となりやすいので、早めの対策をしましょう。

不眠に使われる代表的な漢方薬をご紹介しますが、他にもあります。お悩み・体質に合わせてお選びしますので、まずはご相談ください。

加味帰脾湯

<加味帰脾湯>=かみきひとう

構成生薬:人参(にんじん) 蒼朮(そうじゅつ) 茯苓(ぶくりょう) 甘草(かんぞう) 生姜(しょうきょう) 大棗(たいそう) 酸棗仁(さんそうにん) 竜眼(りゅうがん) 遠志(おんじ) 当帰(とうき) 黄耆(おうぎ) 木香(もっこう) 柴胡(さいこ) 山梔子(さんしし)

※竜眼肉:ムクロジ科竜眼の果肉(軽症の場合は、竜眼肉と百合根を煎じてお茶として飲む民間療法もある。)

効能効果:虚弱体質で血色の悪い人の次の諸症:貧血、不眠症、精神不安、神経症

大病後の疲労や失血、肉体が衰弱した上に、過度の精神疲労が加わって起こる不眠、貧血、健忘に用いられる。

酸棗仁湯

<酸棗仁湯>=さんそうにんとう

構成生薬:酸棗仁(サンソウニン) 茯苓(ブクリョウ) 川芎(センキュウ) 知母(チモ) 甘草(カンゾウ)

※酸棗仁:クロウメモドキ科の棗の成熟種子を乾燥したもの、一般的に炒って用いる

効能効果:心身が疲れ弱って眠れないもの

主薬の酸棗仁には中枢神経系を抑制し、持続する鎮静作用があり、同じく鎮静作用のある知母と合わさると大脳の興奮を低下させ催眠に効果があるとされている。

柴胡加竜骨牡蛎湯

<柴胡加竜骨牡蛎湯>=さいこかりゅうこつぼれいとう

構成生薬:柴胡(さいこ)、半夏(はんげ)、桂皮(けいひ)、茯苓(ぶくりょう)、黄岑(おうごん)、大棗(たいそう)、人蔘(にんじん)、牡蛎(ぼれい)、竜骨(りゅうこつ)、生姜(しょうきょう)、大黄(だいおう)

※竜骨:古代の大型脊椎動物の骨格の化石 牡蠣:カキの貝殻

効能効果:精神不安があって、動悸、不眠などを伴う次の諸症:高血圧の随伴症状(動悸・不安・不眠)神経症、更年期神経症、小児夜泣き

体格がよく、体力のある人に鎮静・自律神経調整を目的として使用されることが多い。カルシウム分を多く含む竜骨・牡蠣は精神安定・筋肉の線維束性けいれんの緩解・動悸の鎮静・止汗などの作用をもっている。